結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「あれ? もしかして、柚香? 」
声がして振り向くと、そこには派手なスリットドレスを着たどこかのクラブのママのような恰好の女性が数名の黒服の男を連れて立っていた。
「やっぱり柚香だ。どうしたの? いつもどってきたの? 」
金髪の長い髪に派手なスリップドレスの女が歩み寄って来て、柚香を取り囲んでいる女達を見た。
「お前達、レディースの下っ端だろ? 柚香になにやってんだ? 」
女達は歩み寄って来た派手はドレスの女を見て、ビビり始めた。
「ちょっと、あの人ってここらを取り仕切っているボスだよ」
「ああ、初代総長だよね」
「なんで、あの女と親しいんだ? 」
ヒソヒソ言っている女達を、派手なドレスの女がギロっと見た。
「まさかお前達、柚香に何かしたんじゃないだろうね? 」
「い、いいえ」
「何も」
「やっていません」
本当? と疑いを目で見ている派手なドレスの女。
「大丈夫よ、瑠璃華(るりか)」
「ほんとに? こいつら、レディースでもパシリだからねぇ」
瑠璃華。
この女性は金奈市を仕切っているレディース初代総長。
現在は夜の繁華街を仕切る組織の会長をやっていて、高級クラブのママ。
「お前達、柚香にちょっかい出したら金奈市に居られなくしてやるからな! 」
「し、してません! 」
「しません」
「やりません! 」
「ふーん、じゃあ消えな! 」
ビビった顔をしたまま、女達は走り去った。
「ったく、粋がってんじゃないよ」
走り去る女達を見て、瑠璃華は呆れていた。
「柚香、最近はどう? 旦那とはうまくやっている? 」
「うん…」
「なにかれば、いつでも言ってきなよ。柚香には、命救ってもらっているからね。いつでも力貸すよ」
「有難う。ねぇ、金田理子って知っている? 」
「ああ、あのストーカー女? 」
「そう。その女が、どうやら旦那につきまとっているの」
「あの女、まだやっているのか? いいよ、任せといて」
「うん。詳しい事は、メールするから」
「ああ、待っているよ」
柚香はそのまま歩き出した。