結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「お前、怪我しているじゃないか。どうしたんだ? 」
「いいえ…ちょっと、ぶつけただけなので…」
何をごまかしている?
じっと見つめて来た聖に、柚香は何となく視線を反らした。
「とりあえず帰ろう」
ひょいと柚香を抱きかかえた聖。
「ちょっと、おろして下さい。歩けますから」
「だめだめ。痛みを感じたから、立ち止まったんだろう? 」
いいながら歩き出した聖。
迎えの車がすぐ傍に停まっていて、そのまま乗り込んだ聖と柚香。
車が走り出すと、ズキンとまた痛みを感じた柚香。
さっきは夢中だったから気づかなかったけど、あのチェーンあたっていたんだ。
結構痛いかも…。
でも大丈夫だわ、このくらいなら明日になれば痛みも引くともうから。
俯いている柚香を聖はそっと横目で見ていた。
家に戻ると、聖は救急箱を持ってきて柚香の足を手当てした。
ちょっと大げさにシップを張られてしまい、何だか大怪我をしたようになってしまい柚香は恥ずかしかった。
とりあえず夕食を食べる事にした聖と柚香。
今日は聖龍は取引先との食事会で遅くなるようだ。
時間が経過してくると、足の痛みがちょっと強くなったような気がした柚香。
しっぷをあててもらった事から、少しマシに感じる。
食事が終わり入浴を済ませた柚香は、少し早めに寝る事にした。
聖は仕事を持ち帰って来た事から、書斎にこもってパソコンに向かっていた。
「…金田さんとの取引は中止にしなくてはな。そして、彼女には辞めてもらわないと」
仕事の手を止めて、聖は電話をかけ始めた。
「あもしもし瑠璃華さん? 俺だけど久しぶり」
(どうしたの? もう縁切りされてるんだって思っていたけど。覚えてくれてたんだ)
「別に縁を切ったつもりはないよ。昔は、仲間だったじゃん」
(そうゆう時もあったわね。どう? 副社長さんは上手くやっている? )
「ああ、おかげさまで。結婚も出来たし」
(結婚? あんたが? 女なんて興味ないって言ってたのにねぇ。よっぽど惚れ込んだ女がいるのかい? )
「そうだ。だから、折り入って頼みがあるんだが」
(なに? 私にできること? )
聖は一息ついた。