結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
大人になり柚香に再会して、復讐の為に結婚した聖。
しかし、予定外に帰って来た聖龍に挑発され離婚するように言われた時、何故か離婚は嫌だと思った。
入院している柚香を見ると、急にこみ上がって来た罪悪感に自分でもどうしてなのか分からない…。
ただ今分かる事。
それは…
憎んでいた筈の柚香を今は愛してしまったと言う事だけだった。
翌日。
いつものように出勤して行った柚香と聖。
柚香は足の痣が目立たないように紺色のスラックスを履いていた。
聖はさっそく金田工務店との契約解除に踏み切った。
急に契約解除をされては困ると言われたが、危害を加える可能性が高いと言って即、契約解除に踏み切った。
そして理子に関しても強制解雇に踏み切った。
何もしていないのに解雇とは酷い! と理子は言い出したが、聖への着きまといは業務にも支障が出ると言われて不服ながら解雇に応じた。
「私を追い出しても、副社長と私の愛は永遠よ…」
ニヤッと笑いを浮かべた理子…。
夕刻時。
いつものように仕事を終えて柚香が歩いてきた。
帰りは運転手が迎えに来ると言う事で、駅前ロータリーまで歩いていた柚香。
その後ろに派手に格好をした理子が怪しい目つきて着いて来ていた。
交差点に差し掛かる手前で、柚香は足を止め立ち止まった。
急に立ち止まった柚香に、ん? と目を座らせ理子も立ち止まった。
「私を殺しに来たのでしょう? 金田理子さん」
ゆっくりと振り向いた柚香に、理子は怯んだ表情浮かべた。
柚香はじっと理子を見つめて、一歩、一歩、歩み寄って行った。
「あなたがお望み通り殺されてあげる」
え? と、理子は期待に満ちた目を向けた。
「ただし条件があるの」
理子の傍に来るとピタッと足を止めて立ち止まった柚香は、口元に少しだけ笑みを浮かべた。
「貴女が愛する副社長と確実に結婚する為に、ある事をしてほしいの」
「ある事? 」
「ええ、貴女がとっても喜ぶことよ。これをやれば、貴女は確実に彼と結婚できるわ」
「面白そうね。でもいいの? 仮にも今は、あんたが妻でしょう? 」
「構わないわ。私は、初めから彼に利用されているだけ。貴女に寝返っても、なんとも思わないわ」
「ふーん。まぁ、いいわ。私は、副社長と結婚出来ればそれでいいの。ずっと、昔からそれだけを夢見て来たんだもの。その為には、邪魔者は消してきたのだから」