結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
フッと口元で笑いを浮かべた柚香は、鞄から小さな瓶を取り出して理子に差し出した。
「これを使うといいわ。それでも永遠に副社長は貴女のものになるから」
理子は何も疑うことなく瓶を受け取った。
「彼を貴女と引き合わせる方法は、私がお手伝いするわ。明後日の夜、シティーホテルのスィートルームへ来て。時間は20時に。そこに、彼も来ているから」
「分かったわ。私の彼を奪った憎い女って思ったけど、意外に良い人なのね貴女って」
「良い人…ねぇ…。そう思ってもらえると、助かるかも」
理子は瓶を見つめて嬉しそうに笑いを浮かべた。
「やっと、私と彼が結ばれる日が来るのね…」
「お幸せにね」
それだけ言うと、柚香は去って行った。
夜。
いつものように夕食を済ませた柚香は、一足先に入浴を済ませる事にした。
聖は取引先と食事会があり、帰りは遅くなるようだ。
入浴を済ませた柚香は聖一郎に電話をかけた。
時刻は21時を過ぎた頃だった。
「もしもし、兄さん? …ええ、都合よく尾行して来たから渡しておいたわ。…ええ、結婚できるのをずっと昔から待ていたって大喜びだったわ。…いよいよね、兄さん…。お父さんとお母さんが、ようやく浮かばれると来たわ…」
(柚香。お前は、宗田君の事は何とも思っていないのか? )
「…ええ、初めから彼は私を狙って近づいてきているの知っているもの」
(だが、最近の宗田君を見ていると。柚香を見ている目が違うから)
「気にせいよ。もう終わりにしたいの。…危険な目にあわされるだけ、時間が勿体ないわ」
(分かった。…)
電話を切った柚香は窓の外を見た。
ちょうど聖が帰って来たようで、車が入って来た。