結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
復讐10
 
 車が玄関前で止まり、聖が降りてきた。

 夜遅いと言うのに、丁寧に出迎えてくれた恵子。

 その姿を見た聖は、不意に思い出した。
 愛香里が殺された日、聖が練習から帰ってきて今と同じように車から降りた時。
 庭から外へ歩いて行く女の子の姿が見えた。
 女の子はちょっと以上に見え、一人でけらけらと笑っていた。
 その女の子の手には…キラッと光るものが握られていた…。 
 
 気に留めなかった聖だったが…
 
 
 玄関に入る前にふと空を見上げると、綺麗な月が輝いていた。
 その月の光を見ていると、不意に思い出した女の子の手に握られていた光るものは…。

「ナイフ…」
 そう、女の子の手にはナイフが握られていた。
 しかも血だらけのナイフ…。

「まさか…」


 聖は思い出しつつ部屋に向かった。

 女の子は異常な雰囲気で歩いていて、一人で嬉しそうにしていた。

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