結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

「形上、理子の家は離婚しているが。実は、父親は殺されたのではないかとも言われている」
「それはどうゆう事? 」
「理子の両親が離婚するとき、既に父親はいなかったらしい。行くへ不明の父親なんていらないと言って、離婚したと聞いているが。父親がいなくなる前に、大喧嘩している声を聞いている人もいる。そして、理子が癇癪を起して暴れていたと証言する人もいる。実際は謎のままだが、離婚するとき理子の母親は羽振りが良くとても上機嫌だったらしい」
 
 複雑な家庭で育った事から、一度好きになると依存してしまうケースか?

「俺と柚香も柳田家には養子・養女として引き取られているよ」
「え? 」
「本当の両親は、俺が高校3年生の時に亡くなったから」
「高校生の時? 柚香は何も話してくれなかったけど」
「そんな話をするまで、進んでいなかったのではないか? 結婚するときも、両家の挨拶もサッと切り上げた感じだったと聞いている。俺は、同席してなかったから知らないが。柳田さんも、俺達を引き取ってからは本当の子供の様に可愛がってくれて。2人の間に子供がいないから、賑やかになって喜んでいたが。柚香はずっと笑顔を亡くしたままだった…きっと、それだけ悲しい事を見てしまったのだと思う。あの事件の時に…」

 それは聖も同じだった。
 悲しみが大きく、誰かを憎まなくては生きて行けなかったから…。

「金田理子はマトモではない。普通に話していても、勝手に自分の都合のいいように思い込んでしまう。だから、君と結婚するって彼女の中のストーリーは崩せないと思う。ただ、最近は攻撃的に出て来ている。警察もマークしているくらいだ。気を付けた方がいい。今まで、金田理子がつきまとってきた男は全員、行くへ不明になっているか変死で見つかっているからな」
「分かりました」
「君の周りにはボディーガードがついているから安心していいよ。柚香にも、ボディーガードをつけたから心配する事はないよ」
「はい…」

 浮かない顔をしている聖をじっと見ている聖一郎…。

「聖君。君は、俺にとって弟だからこれからも遠慮することなくいつでも頼ってくれて構わないよ」
「え? いいんですか? 」
「あたりまえじゃないか、柚香と結婚したんだよ。俺にとって…義理でも、君は弟だから」
「有難うございます。…俺、柚香には酷い事をしていたので…」
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