結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

「柚香はまだ何も知らなかっただろう。…でも…実の母親が、目の前で殺されている現場を見て。あの子はずっと、心が壊れたままだった…」

 理子はクスッと笑った。

「なんだ。頭がおかしかったんだ! じゃあ、罪にはならなかったんじゃない? どうせ、まだ子供だったし。私だって、罪にならなかったんだもの。でも、聖さんと結婚したのは意外だったけど」

 笑いながら話す理子に、聖龍は怒が爆発しそうになったがあえて抑えていた。

 理子は辺りを見渡した。

「見た感じ、あの女はいない様ね。私に聖さんの事を誘惑してって、頼んできたくらいだから。観念して出て行ったようね。これで、邪魔者はいなくなったわ。これからは、私が貴方の妻としてこの家のいるから安心してね」

 笑いながら聖龍の腕にしがみついてきた理子。

「…お前…ふざけるなよ! 」

 しがみついてきた理子を振り払った聖龍は、怒りに満ちた目で理子を睨みつけた。

「どうしたの? 何を怒っているの? 」
「…お前、娘を傷つけて良く平気な顔をして生きていられるな! 柚香の実の母親を殺しただけでは物足りず、育ての親まで殺したんだろ! 」

 きょんとした顔をした理子だが、すぐさま笑顔を浮かべた。

「ああ、あの2人の事ね。だって、あの2人はずっと私の事を嗅ぎまわっていたみたいなの。私が、邪魔者を消してあげているのに。愛香里さんを殺したのは私だって、警察に通報したり、私が付き合っていた邪魔な男を始末したのを見たとか言い出して。もうウザくてたまらないから、高校の体育祭で見かけて丁度いいから死んでもらおうと思って。聖さんが保護者にお茶を配っていたから、ついでに持って行ってもらっただけよ。毒入りのお茶をね」

 笑いながら殺害を告白する理子に、抑えきれない怒りが込みあがって来た聖龍は近くの壁に拳をぶつけた!

 ドン! と大きな音がして、理子はきょんとなった。
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