結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「…もういい…。お前の事を、ずっと放置してきた私に責任がある…」
スッとポケットからナイフを取り出した聖龍は、そのナイフを理子に突き付けた。
鋭いナイフは先端に黒ずんだ血痕が付いている。
「これは、愛香里が刺された時のナイフだ。これで、お前もいけ! 」
勢いよくナイフを振り上げた聖龍。
だが、その腕を誰かが掴んで止めた。
「父さん、ダメだよ! そんなことしちゃ」
声がして聖龍は我を取り戻して、ゆっくりと振り向いた。
聖龍の腕を掴んで止めたのは聖だった。
「聖…お前、仕事に行ったんじゃなかったのか? 」
バタバタと足音が近づいてきた。
「金田理子! 」
複数の警察官と私服刑事が理子を取り囲んだ。
「金田理子、殺人容疑で逮捕する! 」
ガチャッと、手錠をかけられた理子は驚いた表情を浮かべ聖龍を見た。
「どうゆう事? ねぇ、聖龍さん助けて。私は、貴方の妻でしょう? 何も悪いことなんてしてない! 邪魔する奴らを消しただけなのに、なんで? 」
助けを求める理子を、ゆっくりと見た聖龍。
「何言ってんだよ! お前は私の愛する妻を殺した殺人者! そして、愛する娘の心を壊した最低なクズだ! さっさと死刑にでもなれ! 」
「嘘…どうしちゃったの? 聖龍さん。あんなに愛し合っていたじゃない、私達。子供を作ろうて、やっと結ばれたのだってついこの前の事よ」
「何を言っているんだ? お前、いい加減目を覚ませよ。夢を見るなら、寝てからにしてくれ! 」
怒鳴りつけた聖龍を信じられない顔をして見ている理子。
そのまま警察官に囲まれて、理子は連れて行かれた。
連れ行かれる途中、理子はかなり暴れて聖龍に助けを求めていたが、警察官に押さえられながらパトカーに乗せらえる姿はとても哀れで、言っていることは幼稚園並みで頭がおかしいというよりも何らかの障害があるのではないかと思われるくらいだった。
警察官に事情を聞かれた聖龍は、罪にはならず厳重注意だけで終わった。