結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
「柚香…もういいだろう? お互いに、自分のことを許そう。俺と柚香は、離婚しちゃいけない。憎みあっていても、こんなに…愛し合っているじゃないか。…だから、子供だって中絶しないで産むことを決めてくれたんだろう? 」
ヒクっ…ヒクっと電話の向こうで泣いている柚香の声が聞こえてきて、聖の目も潤んできた。
「柚香…今どこにいるの? すぐに行くから、教えて」
何も答えない柚香だが、電話の向こうから時計台の音色が聞こえてきた。
「ちょっと待ってろ、すぐに行くから。絶対に動くな! いいな」
電話を切った聖は急ぎ足で時計台へ向かった!
時計台まで聖が走ってくると。
時計台の前に佇んでいる柚香の姿が見えた。
ゆったりとしたブルー系のワンピース姿で、ちょっとお腹が目立ってきた柚香。
その姿を見ると、聖は嬉しさが込みあがってきて、急ぎさ足で柚香に駆け寄って行った。
「柚香! 」
駆け寄ってくる聖の姿を見ると、柚香は泣き出してしまった。
ギュッと抱きしめられると、なぜかほっとした柚香。
「…もう、離婚するなんて二度と言うな。…いなくなっても、絶対に見つけ出すから。地の果てまでも追いかけてゆくから! 」
とても安心する聖の腕の中。
私、ここにいていいんだよね?
そう思った柚香。