クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
西の空に沈みかけた太陽があたりを照らす。
男の子の様子を観察するために座ろうとしたのに、体が自由に動かなくて焦る。
右腕が燃えるように熱く、下半身は感じたことのない鋭い痛みとともに、しびれていた。
仕事帰りに百貨店に寄り、お気に入りの化粧品メーカーの新作リップを手に入れて帰宅途中。
大通りの交差点に差しかかろうとしたとき、道路に飛び出した男の子にトラックが迫っていたのを見つけてなんとか助けたのだけれど、守りきれなかった。
私も含めてトラックとの接触はなかったものの、勢いよく転がったので体の右側がアスファルトに叩(たた)きつけられてしまったのだ。
「嫌……。目を覚まして?」
精いっぱいの受け身は取ったつもりだった。
けれど、支えきれずに男の子の頭が道路にぶつかった。
「大丈夫か!」