クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
しかし、全身をチェックし始めた彼に右脚を触れられて、あまりの強い痛みに気を失いそうになる。


「ひびが入っているかもしれない。俺はすぐそこの野上総合(のがみそうごう)病院に勤めている。この子もあなたも必ず助ける。安心して」


私の脚はともかく、意識のない男の子を助けると断言されて、涙が止まらなくなる。

そのうち周囲に人だかりができてきて、彼は私の捲(めく)れたスカートを直してから立ち上がった。


「ドライバーは無事ですか?」


彼は周囲を見回して、ほかにケガ人がいないか確認しているようだ。


「運ちゃんはぴんぴんしてる。そっちは大丈夫?」


どこからか男性の声がして、トラックの運転手が無事だとわかった。


「私は医師です。すぐに治療します。救急車が近づけませんから、道を空けてください」


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