俺がこの世で一番愛してる人
助けたい人
　翌日、治癒魔法を使えるようになったので、彼女の傷を治そうと、休憩時間に彼女のところへ向かう。

　もちろんオリバーがこの時間、家にいないのは確認済みだ。
　けれど念の為窓から中の様子を覗くが、やはりあいつはいない。

　前に作った合鍵で中に入り、真っ直ぐ彼女の部屋にいる部屋に向かう。

　いや、あれは部屋というより物置きに近い。
　窓もなければ、掃除もちゃんとされていないようで、やけに埃っぽかった。

　彼女が妖精でなければ、あんなところで暮らしていたらすぐにでも病気になりそうだ。

　そしてその部屋の鍵を外し扉を開けると、やはり嫌な音がする。

　中に入ると彼女はやはり震えていた。
　アクアマリンのように綺麗な水色の瞳が恐怖に染まっている。

　この扉が開く時なんて、あいつに暴力を振るわれる時だけなんだからそれも当たり前だ。

　この前見た時よりも手足のあざが増えている。

　俺が見ていない間にも暴力を振るわれたようで、昨日はなかった切り傷があった。
　血は既に止まっているようだが痛々しい。

　少しでも彼女に安心してもらえるように、床に座り込んでいる彼女に視線を合わせるようにしゃがみ、出来る限り優しく声をかける。


「二日ぶりだね。ごめん、君を助け出すのにまだもう少しかかりそうなんだ」


　やはり彼女の震えはおさまらないし、俺のことをすごく警戒している。

　どうしたら俺に敵意がないと、彼女に伝えられるんだろうか。
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