俺がこの世で一番愛してる人
「もちろん君に惚れていなくても最初から助け出すつもりではいたよ。けど好きになって、居ても立っても居られなくなって、こうして来ちゃった」
彼女は信じられないとでも言いたげに、俺のことを見ている。
それもそうだ。
オリバーにあんな目にあわされているんだ。
こんなことすぐに信じるわけがない。
それはわかるが、そんなじっと見られると照れてしまう。
「そんなに見られると照れるな。……って、そんな場合じゃない。怪我の具合を知りたいから少し触るよ。痛いかもしれないけど、少しだけ我慢してね」
触れようとするとびくっと、彼女の体が震える。
俺に触られるのが怖いんだろう。
ごめん、と思いながら怪我の場所を探るために彼女の腹を軽く押す。
「い゛……」
「ごめん、痛いよね。今その怪我を治すから、少しだけ我慢してて」
それだけでもかなり痛かったらしく、彼女は顔を痛みに歪める。
早く治してあげなければと思い、彼女の腹の上に手をかざし、治癒魔法を使う。
すると徐々に痛みで強張っていた彼女の顔が和らいでいく。
これは治癒魔法が上手くいっているんだろう。
昨日兄さんから教えてもらったとはいえ、上手くできるか不安だったので安心する。