俺がこの世で一番愛してる人

「待ってたわ、リュカ」


 彼女が笑顔で迎えてくれる。
 あいつからの暴力でできた傷は相変わらずで心が痛む。

 しかし“待ってた”って可愛すぎるだろ。
 それって俺が来るのを楽しみにしてくれていたってことだろ?

 ああ、彼女が可愛すぎる。


「二週間前は、まさかこんな風にリーベの笑顔が見れるようになるなんて思ってもいなかったよ。ねえ、抱きしめてもいい?」


 彼女は恥ずかしそうに顔を染め頷く。

 最初は頑なに嫌がっていたが、最近はこうして受け入れてくれるようになった。
 それがすごく嬉しくて、早速俺は彼女のことを抱きしめる。

 女性なので、当たり前のように体を鍛えている俺より華奢だし小さい。

 彼女は女性の中でもかなり細身で、俺が力一杯に抱きしめたら折れてしまいそうだ。
 なので、いつも優しく抱きしめている。

 自分の腕の中に彼女がいると思うと、幸福に満たされる。

 これで、早くこんなところから助けてあげられれば最高なのに。

 そう思っていると、彼女が俺の胸に顔を擦り寄せてくる。

 ああ、なんだこの可愛い生き物は。
 オリバーの奴、よくこんな可愛い子にあんな酷い仕打ちをできるものだ。
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