俺がこの世で一番愛してる人

「そんな可愛い反応されたら、色んな過程飛ばして、今すぐここから連れ出したくなる」

「……私は、それでもいいよ?」


 これはよくない。
 俺は片手で顔を覆う。


「リーベが可愛すぎる」


 こんなこと言ってくれるようになるなんて、二週間前なら想像もつかなかった。

 何も考えずに今すぐ彼女をここから連れ出したい。
 けど、それじゃあ駄目なことなのもわかっている。


「リーベがそう言ってくれるのは嬉しいけど、それじゃあ駄目なんだ」

「どうして?」

「ちゃんと段階を踏まないと、またあいつが君を傷つけるかもしれないから」


 自分にも言い聞かせるように彼女に伝える。

 長くてもあと一週間で、彼女をここから出してあげられる。
 だから感情に任せて動いてはいけない。


「わかった。あなたがここから助け出してくれるまで、私待ってるね」

「うん、出来るだけ急ぐから。だからもう少しだけ待ってて」


 もう一度彼女を抱きしめる。

 このまま、ずっとこうしていたい。
 早くあんな奴のことなんて気にせずに、好きな時に好きなだけ彼女と過ごせるようになりたい。
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