俺がこの世で一番愛してる人
 そうしてしばらく抱き合ってから、彼女の頭を撫でてから離れる。

 気づいたら、こうして彼女の頭を撫でてから帰ることが習慣となっていた。

 だからか、最近はそうやって頭を撫でると、彼女が寂しがるようになった。
 言葉に出したりはしてくれないが、顔が寂しそうにしている表情をしている。

 俺が帰るのが寂しいのだと少しでも思ってくれていると思うと、とんでもなく可愛いし、帰りたくなくなる。


「リーベそんな顔しないで。余計帰りたくなくなる」


 頭を撫でていた手を頬に移動させ軽く撫でると、彼女がその手に擦り寄ってきた。
 なんだ、それは。


「……可愛いすぎる」


 あまりにも可愛すぎて、彼女をもう一度先程よりも少し強く抱きしめ離れる。


「本当はまだ一緒にいたいけど、もう帰らないとあいつが帰ってくる。帰ってこなければいいのに」


 あいつがどこかで飲み潰れてくれていたら、今日はずっと彼女といれるのに。

 どんなに飲んでてもあいつは絶対にこの家に帰ってくるから、そんなこと思っても無意味だがそう思ってしまう。


「一日、二日空くと思うけど、また来るから」

「うん、待ってるね」


 もう一度彼女の頭を撫でてから部屋を出る。

 ああ、ずっと彼女と一緒にいたい。
 早くあんなところから助け出して、一緒に暮らせるようになりたい。
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