俺がこの世で一番愛してる人
「お前もいたのか」
「いたのかって酷いな。俺もその子のこと助けるのに一役買ったのに」
「ああ、それは本当に感謝してる」
俺が気を失った後、こいつが彼女のことをここまで連れてきてくれたんだろう。
面倒見のいい奴だから、多分不安がる彼女の話し相手にもなってくれていたのであろう。
「まあ、目が覚めてよかったよ。それにしても、この子可愛いな」
彼女のことを“可愛い”と言うイアンを睨む。
確かに彼女は本当にこの世の生物なのかと思う程可愛いが、他人に、しかも男に言われるのはあまりいい気がしない。
「リュカ、友達のことをそんなに睨むのよくないよ?」
「いや、これは違うんだ。……リーベは優しいね」
こいつのせいで彼女に怒られた。
弁明しようとするが、上手く言葉が出てこないので、頭を撫でて誤魔化す。
それで彼女は誤魔化されてくれたのか、何も言ってこない。
どこか安心したような表情を浮かべている彼女が可愛い。