俺がこの世で一番愛してる人
 彼女の方を見ると、嬉しそうに微笑んでいた。


「可愛い。俺に好きって言われて嬉しかったの?」


 先程抱きしめたら嫌がられたから、手を繋ぐくらいはいいだろうと思い、そっと手を繋ぐ。
 彼女もぎゅっと握り返してくれる。

 そのまま彼女が頷く。


「そんなのいくらでも言うよ。好きだ。愛してる」


 彼女が幸せそうに微笑む。

 ああ、本当に可愛い。
 今すぐ抱きしめたい。

 すると咳払いが聞こえる。


「だからお二人さーん、俺の存在忘れないでくださーい」


 彼女が可愛すぎて、すっかりイアンの存在を忘れていた。

 すると彼女は顔を赤くし、繋いでいた手を離される。
 またこいつのせいで彼女が離れていった。


「お前のせいで、リーベが離れたじゃないか」

「俺のせいか? そうだ、この子が初めて外に出た時の姿お前にも見せてやりたかったな」


 初めて外に出た時の彼女。
 どんな反応をしていたかはわからないが、絶対に可愛かったに決まっている。


「どんなだったんだ?」

「見るもの全て新鮮だったんだろうな。目すごいキラキラさせてて、本当に可愛かったよ」

「くそ、あいつに斬られなければ、俺もその姿見れたのに。絶対すごい可愛かったに決まってる」


 そんな姿を見れなかったなんて悔しい。

 あのアクアマリンのように綺麗な目をきらきらさせている彼女は想像するだけでも可愛いのだから、実際はその何倍も可愛かったに違いない。

 そんな姿が見れなかったなんて悔しすぎる。

 くそ、あの野郎。
 よくも斬りやがったな。
< 30 / 42 >

この作品をシェア

pagetop