俺がこの世で一番愛してる人
 そう思って彼女を見ると、髪が以前よりも綺麗になっている気がした。

 俺はあまり見た目の変化には気づかない方だが、彼女のことだと気づけるらしい。


「リーベ少し髪綺麗になった?」

「そうなの。キャロルさんに綺麗にしてもらったの。どう? 変じゃない?」

「変な訳ないだろ。すごく綺麗だ」


 俺が目を覚ましてからずっと立ちぱっなしだった彼女をベッドに座らせてから、彼女の髪を掬いキスをする。

 理由なんて特にない。
 なんとくなくしたくなったのだ。


「俺のために綺麗にしてくれたの?」

「うん、綺麗にした方がリュカが喜ぶってキャロルさん達が言ってたから」

「そうなんだ。俺のために……。なんだそれ、可愛すぎるだろ」


 あまりの可愛さに下を向いて悶える。
 どうしてリーベはこんなにも可愛いのだろうか。


「リュカ?」


 不思議そうに俺の名を呼ぶ彼女の声が聞こえ、また抱きしめる。


「リーベいい匂いする」


 先程から思っていたが、あの部屋にいた時よりも何倍もいい匂いがする。

 今まで臭いと感じたことはないが、かと言っていい匂いだと感じたこともない。
 彼女からあまり匂いを感じたことがなかった。
 それが今はすごくいい匂いがする。

 もっと嗅ぎたくて、彼女の首元で匂いを嗅ぐ。

 いや、流石にこれは気持ち悪いのではないかと思っていると、彼女がくすりと笑う。

 何がおかしいのだろうかと彼女の顔を見ると、無性にキスがしたくなり、顔を近づける。

 彼女も察したのか目を瞑る。

 するとそこで扉がノックされる。
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