俺がこの世で一番愛してる人
「そう言えば、リュカってお兄さんがいたんだね」
「ああ、自慢の兄さんだ」
「確かにリュカの怪我を短時間で治しててすごかった」
兄さんのことを急に褒め始めて、もしかしたら彼女が兄さんのことが気になってきているかもしれないと不安になってくる。
今までは、あの最低野郎と俺くらいしかあの子の世界にはいなかったから、俺のことを好きでいてくれたかもしれない。
しかし、外に出て交友関係が広がっていくうちに愛想をつかされるかもしれない。
これから先、俺には彼女以上に好きになる人なんて現れないだろうが、彼女がどうかはわからない。
こんなに不安に思わなくていいのかもしれないが、未来のことなんてわからないから不安に思ってしまう。
「……兄さんに目移りしてないよね?」
「目移り? 私はリュカしか見てないよ?」
「俺もリーベのことしか見てない」
よかった。
兄さんのことは好きになってないみたいだ。
俺のことしか見てないって。
言葉にされるとやはり嬉しい。