俺がこの世で一番愛してる人
「おい、流石に少しやりすぎなんじゃないか?」
「リュカ、お前は優しいなぁ。けど、こいつにはこうやって教育してやんないとわかんないんだよ」
「おい、リーベ起きろ」というオリバーが彼女に荒々しく言うと、彼女はゆっくりと起き上がる。
きっと蹴られた腹が痛むだろうに、オリバーの言うことを聞く彼女の姿が痛々しくて目を逸らしたくなる。
「黙ってないでこいつに自己紹介でもしたらどうだ? 初対面の人には挨拶するって教えたよなぁ?」
「……っ、ごめんなさい。私は、リーベです。オリバー様に、ここで……立派な妖精に、なれるように、教育してもらってます」
教育? これのどこが教育だっていうんだ。
こんなのただの暴力でしかない。
こいつの憂さ晴らしに彼女が使われているだけだろ。
「よく出来たなぁ」と満足気に彼女を見るオリバーが気持ち悪くて、今すぐ殴り飛ばしたくなる。
「もう俺は満足したから、もうそろそろ飲まないか?」
そんな気持ちを抑えて、俺はそれらしい理由をつけて部屋を出るよう促す。
オリバーもまだ飲み足りないようで、俺の誘いに乗ってきたので二人で部屋を出る。
こいつを酒で潰してから、またこの部屋に戻ってこよう。
そう思い、俺はオリバーに大量に酒を飲んでもらうために、気分をよくさせるよう努めると、一時間と経たずにこいつは潰れた。
オリバーのポケットからあの部屋の鍵を取り出し、足早に彼女の元へ向かう。