俺がこの世で一番愛してる人
頑張る人
 次の日、俺は今年から衛兵として働いているので、職場である衛兵所に着くと、すぐに仲間に彼女をことを話し、助け出したいことを伝える。
 仲間も出来うる限りの協力はすると言ってくれた。

 何も証拠がないとオリバーのことを捕まえられないので、早速証拠集めのために彼のことを見張ることにした。

 明日の夜に彼女の傷を治せるようになるため、治癒魔法を兄に教えてもらうことになった。

 しかし他にも仕事があるため、一日中見張っている訳にもいかず、やきもきする。

 仕事終わりにオリバーの家に行くと、不用心に鍵がかかっていなかったので、本当はこれも犯罪だと思いながら、こっそり中に入る。

 明かりはついているが、オリバーの姿はどこにも見当たらず奥へ進むと、彼女の閉じ込められている部屋からあいつの声と苦しそうなリーベの声が聞こえる。

 扉は完全に閉まっていなかったので、隙間から中の様子を伺う。


「なんだその目は! 反抗的な態度をとるな!」


 また酒を飲んだのか顔が赤くなっているオリバーが、うずくまっている彼女のことを蹴り飛ばしていた。

 いくら妖精が人よりも再生能力が優れているとしても、昨日の傷だって癒えてないはずだ。

 なのに、そんなに彼女を蹴るな。

 怒りを抑えながら、これは証拠になると魔法で映像を記録する。

 彼女に暴力を振るうあいつの映像を残すことしか出来ない自分に苛立ちながら、三十分程そうしていると、あいつが部屋から出てきそうな雰囲気を出したので、急いでその場をあとにする。

 これだけの証拠があれば、明日には彼女のことを助け出せるだろう。
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