俺がこの世で一番愛してる人
 しかし、そう簡単にことが運ぶはずもなく、これだけでは証拠不十分だと上官に言われる。


「どうしてですか」

「もっと常習性があると分かる証拠がないと捕まえられない」

「これだけ痛めつけられているのだから、助けてやらないでどうするんですか」


 上官の言葉に苛立ちながら伝えるが、首を縦に振ってくれない。

 今日には助けてあげられると思ったのに。

 くそ、悔しい。


「気持ちは分かるが、確実な証拠を掴まないと相手に逃げられるかもしれない。だから今は耐えてくれ」

「……わかりました」


 常習性がわかる証拠が必要だというなら、今夜も忍び込んで証拠を撮らなければ。

 早く彼女をあんな奴から助け出してあげたい。

 オリバーの家はまた鍵がかかっていなくて、簡単に入ることができた。

 やはり今日も彼女は暴力を受けていた。
 痛みを堪える彼女の声が聞こえる。
 今すぐ彼女を助け出したいのを抑え、映像に残す。

 絶対に君のことを助けてみせる。

 そうもう一度誓って、俺はその場をあとにし、治癒魔法を教えてもらうために兄の家に訪れる。
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