となりの席の読めない羽生くん
「……親睦会バーベキューって、いかにも陽キャが考えそうなイベントだな…。」

観念して仕方なく参加する意思を見せた羽生が呆れたようにつぶやいた。
「バーベキューって料理だよ?楽しいよ、きっと。」

———はぁ…

「………高校では静かに過ごしたいんだけど…」
羽生は溜息を()くと、さらに小さな声で何かを危惧するようにつぶやいた。

「雨でも降んねーかな…」
「わーさいてー…」


バーベキュー当日
羽生は約束の10:00に集合場所の河川敷に姿を見せた。
「本当に来てくれた〜!」
もしかしたら来ないんじゃないかと心配していた葉月は、嬉しそうに駆け寄った。
「来なくていいなら、来たくなかった。」
羽生の言葉に、葉月はハハハと笑った。
制服姿しか見たことのない羽生が、ゆるいTシャツに細身のパンツ姿をしているのが新鮮に映る。
(でも今日もメガネ…だいたいあの前髪も邪魔じゃないのかな。)
羽生は葉月と一言二言会話をすると、バーベキューコンロから少し離れた木陰に腰を下ろした。

「え〜調理しないの?」
「やりたい人がやればいいって言ってたけど。」
「羽生くんは料理やりたい人じゃないの?」
「バーベキューに来るとこまでしか約束してない。」
「うわ…めんどくさ…」
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