となりの席の読めない羽生くん
———トントントン…

———ザザ…

———シュ…シュ…

侑輔は小学生とは思えない手際の良さで、あっという間にパスタを完成させてしまった。

「はい!どうぞ!」
葉月の目の前に置かれたそれは、店で出されてもおかしくないような見事な一皿だった。
「じゃあ食べようか。」
羽生が言った。

「「いただきます。」」

「え!嘘!超美味しい!」
見た目だけでなく、味も店で出せるレベルに思えた。

「やったーーー!」
侑輔はピースをして喜んでいる。
(かわいい…)

「パスタがちょっと柔らかいかな。」
羽生が言った。
「だって3人分だから動かしにくかったんだもん。」
「他はバッチリ。美味い。」
「やったー!」

「…で」

葉月が口を開いた。

「え?」

「誰?」
「お姉さんこそ誰?」
二人のやりとりを見て、羽生は笑った。

「侑輔、この人は荻田 葉月さん。俺のクラスメイト。」
羽生が葉月を紹介した。
「で、こっちは俺の弟の侑輔、小3だっけ?」
「小4!」
「弟…小学4年…で、この料理?」

「うん。で、お弁当の“かわいい子”の正体。」
羽生がニコッと笑って言った。

「………え?」「え」「えぇ!?!?」

葉月のリアクションを見た羽生は、いつになく大きく「アハハ」と笑った。
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