となりの席の読めない羽生くん
「何日?」

「え…」

「誕生日、8月何日?」

「えっと…8日…」

「すげーな、8ガールじゃん。」
「何ー?8ガールって!ダサ!」
葉月はまた笑った。

「あれ?8月8日って…」
「そうだよ、避暑キャンの日。」
葉月たちの高校では、2年生の夏休みに長野県に避暑キャンプに行くことになっている。
それが今年は葉月の誕生日だ。

「羽生くんは行かなそうだよね。」

「んー…サボるつもりだったけど…行こうかな。荻田の誕生日なら。」

(……え?)

「行って欲しい?」
羽生がいたずらっぽい笑顔で言った。

(…またからかわれてる…)
葉月は眉間にシワを寄せた。

「行って欲しいよ。」
「お」
「だって、席で班決めるって言ってたから、羽生くんがいなかったらうちの班のカレーのクオリティが下がるでしょ。」
「そこは普通の高校生のカレー作るけど。」
羽生は笑って言った。
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