となりの席の読めない羽生くん
「あれ〜?おっかしいなー…」
「なんだよ真田(さなだ)ー早く出せよー!」

(あ…)

バスでお酒の話をしていた男子たちだ。

「なんか、無いんだけど。」
「無い?」
「酒。ここに隠しといたんだけど…」
真田は押し入れの下段を指した。
「無いわけないだろー」
「でも無いんだよ。」
「持ってくるの忘れたんじゃねーの?」
真田は()せないが、自信もないという表情だ。

「何何〜?どうしたの?」
茅乃が二人に話しかけた。
「真田がここに酒置いといたのに、無いって言ってんの。」
「えー!お酒持ち込んだの?何ー?」
「ビールとかテキーラとか」

「え!それ今飲もうとしたの?女子にテキーラいかせようとしてたってことー?ちょっと引くんですけど〜」

「え!」

(さすが茅乃…遠慮がない…)

「いや、勘違いかも、テキーラは…いや、酒なんて持ってきてなかったかも…」
真田は茅乃の言葉に狼狽(うろた)えながら言った。

酒があったのか無かったのか、結局曖昧になったが、葉月はホッとした。
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