彼女の夫 【番外編】あり
「服部社長、本日はお越し下さりありがとうございます。お花もいただきまして」
「いえ、こちらこそお招きいただき、ありがとうございます。創立50周年、おめでとうございます。今後も、変わらずお付き合いできればと」
「もちろんです。会長にも、どうぞよろしくお伝えください。ところで服部社長、今日奥さまは・・・・」
「やぁやぁ50周年おめでとう!! 元気にしてるか?」
出版社の社長が『妻』の存在に言及したところで、どうやら旧知の男性が近づいてきたらしい。
腕を引っ張られていく途中でこちらを振り返り、社長は俺に会釈した。
ふぅ。
声の大きな男性に助けられた・・か。
時折いまのような場面はあるものの、このご時世、それほどパーティーのような催しは多くない。
その都度、適度にやり過ごしてきた。
下手にご令嬢を紹介されても困るからだ。
「お久しぶりです、服部社長」
背後から、聞き覚えのある声がした。
ああ・・会いたかったような、会いたくなかったような。
「こんばんは、坂本さん。ご活躍、伺っていますよ」
振り返り、当たり障りのない挨拶をする。
作り笑いは、さすがに不自然だっただろうか。
俺はこの場面で、他に何と言えばいいのだろう。
紹介する相手もいなければ、まさか『奥さまは・・』と彼女の近況を尋ねるわけにもいかない。
微妙な沈黙が流れる。
「お話中、失礼いたします。社長、専務が探しておられます。ご紹介したい方がいるとか・・」
高澤に促され、俺は立ち去ろうとした。
「服部社長・・パーティーの後、一杯飲みませんか? 少し話がしたいのですが」
俺は頷いてから、その場を離れた。
「いえ、こちらこそお招きいただき、ありがとうございます。創立50周年、おめでとうございます。今後も、変わらずお付き合いできればと」
「もちろんです。会長にも、どうぞよろしくお伝えください。ところで服部社長、今日奥さまは・・・・」
「やぁやぁ50周年おめでとう!! 元気にしてるか?」
出版社の社長が『妻』の存在に言及したところで、どうやら旧知の男性が近づいてきたらしい。
腕を引っ張られていく途中でこちらを振り返り、社長は俺に会釈した。
ふぅ。
声の大きな男性に助けられた・・か。
時折いまのような場面はあるものの、このご時世、それほどパーティーのような催しは多くない。
その都度、適度にやり過ごしてきた。
下手にご令嬢を紹介されても困るからだ。
「お久しぶりです、服部社長」
背後から、聞き覚えのある声がした。
ああ・・会いたかったような、会いたくなかったような。
「こんばんは、坂本さん。ご活躍、伺っていますよ」
振り返り、当たり障りのない挨拶をする。
作り笑いは、さすがに不自然だっただろうか。
俺はこの場面で、他に何と言えばいいのだろう。
紹介する相手もいなければ、まさか『奥さまは・・』と彼女の近況を尋ねるわけにもいかない。
微妙な沈黙が流れる。
「お話中、失礼いたします。社長、専務が探しておられます。ご紹介したい方がいるとか・・」
高澤に促され、俺は立ち去ろうとした。
「服部社長・・パーティーの後、一杯飲みませんか? 少し話がしたいのですが」
俺は頷いてから、その場を離れた。