悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?
2 互いの推しに押しましょう

推しを愛する日々

 それから、私とマリーは作戦会議をした。
 救護室に誰も現れないのを良いことに、二人でベッドの縁に座り、話し合う。

「マリーをレオンに近づけるのは簡単だと思うの」

 私が言うと、マリーは「そうですか?」と不安気に眉を寄せる。

 敬語はやめて欲しかったのだけれど、急に態度を変えたら怪しまれるだろうというマリーの提案で、彼女は敬語を崩さなかった。
 それに、呼び方も「エレーナ様」「マリー」のままでいくことにした。

 仲間なのに距離があるようで、少し寂しい。けれど、マリーの気遣いを無下にはしたくなかった。

「レオンはその人柄、困っている人を放っておけないでしょ? 私がレオンをどこかにおびき出して、その道中でマリーが困っていればきっと助けてくれるはず」

 私が言うと、マリーは複雑な表情をした。

「エレーナ様は、レオン様のことは何でも分かるんですね」

「まあ、幼い頃からずっと一緒にいたから……」

 言いかけて、マリーの気持ちを推し量ってしまい、黙った。  

「ごめん、無神経だった」

「いえ……」

 マリーにとってはこの上ない羨ましい話だ。
 彼女が虐げられ、継母に小間使いのようにされていた間中、私はずっと『王太子婚約者』として、レオンのそばにいたのだから。

「今は、作戦のこと、考えましょ?」

 マリーの作り笑顔に、胸が痛くなった。
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