悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?
純粋な恋心
◇◇◇
エレーナが走り去っていったラウンジで、レオンは立ち尽くしていた。
茫然自失したように、エレーナが抜け出した自分の両手を見つめている。
「レオンくん、大丈夫?」
ふるふると小刻みに震えるその肩を見つめ、ガブリエルが声をかけた。
「ああ、大丈夫だ……」
大丈夫な人は、こんなに声が震えるはずがない。ガブリエルは空気を変えたくて、わざとおどけた。
「まあ、あれじゃない? マリッジブルーっていうやつ。王立学校を卒業したら、二人は正式に結婚するんだろう? ほら、あと1年もないから、さ」
言いながら、その震える肩をぽんと軽く叩く。
するとレオンは、振り返ることもせずにうつむいたまま続けた。
「客人を前に無礼を承知で申し上げる。少しだけ、一人にしてくれないか?」
レオンは相当、動揺しているらしい。
ガブリエルはレオンから見えていないにもかかわらずその場でコクリと頷き、ブランへ視線を向けた。
ブランはレオンの背中を見つめていた。
それも、今まで見たこともないような憂いの瞳を浮かべて。
「ブラン、行くぞ!」
ガブリエルが声を上げると、ブランはいつの間にか、いつもしている面倒臭そうな顔に変わる。
「へいへい、了解〜」
ガブリエルは、ブランは絶対何か知っていると踏んだ。部屋に戻ったら、問いただしてみようと思った。
エレーナが走り去っていったラウンジで、レオンは立ち尽くしていた。
茫然自失したように、エレーナが抜け出した自分の両手を見つめている。
「レオンくん、大丈夫?」
ふるふると小刻みに震えるその肩を見つめ、ガブリエルが声をかけた。
「ああ、大丈夫だ……」
大丈夫な人は、こんなに声が震えるはずがない。ガブリエルは空気を変えたくて、わざとおどけた。
「まあ、あれじゃない? マリッジブルーっていうやつ。王立学校を卒業したら、二人は正式に結婚するんだろう? ほら、あと1年もないから、さ」
言いながら、その震える肩をぽんと軽く叩く。
するとレオンは、振り返ることもせずにうつむいたまま続けた。
「客人を前に無礼を承知で申し上げる。少しだけ、一人にしてくれないか?」
レオンは相当、動揺しているらしい。
ガブリエルはレオンから見えていないにもかかわらずその場でコクリと頷き、ブランへ視線を向けた。
ブランはレオンの背中を見つめていた。
それも、今まで見たこともないような憂いの瞳を浮かべて。
「ブラン、行くぞ!」
ガブリエルが声を上げると、ブランはいつの間にか、いつもしている面倒臭そうな顔に変わる。
「へいへい、了解〜」
ガブリエルは、ブランは絶対何か知っていると踏んだ。部屋に戻ったら、問いただしてみようと思った。