悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?
はっとした。
レオンは何かに気付いているらしい。
けれど、それを私が知るすべはない。
ドクドクと、心臓が嫌な音を立てる。
「ガブリエル王子から、何かお聞きしました……?」
言えば、レオンが私の顎をなでるように優しくすくい上げる。
その顔には王太子の微笑が浮かんでいる。
「ああ。だが、大したことじゃないさ」
レオンは言いながら、私の瞳をじっと見つめる。
綺麗な蒼い瞳。
そこに映る私は、なぜか蕩けたような顔をしている。
ほだされちゃダメだ。
そう思うのに、胸が高鳴る。
事態は先ほどまでとなんら変わらないのに、心臓の音が甘く響く。
私たちは、結ばれないのに。
願っても、虚しいだけなのに。
それを知らないレオンは、私に優しく口吻を落とした。
「今、私の目の前にいるのは私の婚約者なんだ」
まだ彼の温もりの残る唇を今度はそっと彼の親指がなぞっていく。
触れられて、嬉しいと思ってしまう。
けれど、物語の結末を知っているから、悲しくなる。
じわんと目頭が熱くなって、泣くまいと唇を強く結んだ。
その顎を、トントンとレオンの人差し指がつつく。
「今、エレーナの目の前にいるのも、エレーナの婚約者だろう?」
ここで素直に頷けたら、なんて幸せなのだろう。
顎を固定された状態では顔をそらすこともできない。私は困って、視線をさまよわせることしかできなかった。
レオンは何かに気付いているらしい。
けれど、それを私が知るすべはない。
ドクドクと、心臓が嫌な音を立てる。
「ガブリエル王子から、何かお聞きしました……?」
言えば、レオンが私の顎をなでるように優しくすくい上げる。
その顔には王太子の微笑が浮かんでいる。
「ああ。だが、大したことじゃないさ」
レオンは言いながら、私の瞳をじっと見つめる。
綺麗な蒼い瞳。
そこに映る私は、なぜか蕩けたような顔をしている。
ほだされちゃダメだ。
そう思うのに、胸が高鳴る。
事態は先ほどまでとなんら変わらないのに、心臓の音が甘く響く。
私たちは、結ばれないのに。
願っても、虚しいだけなのに。
それを知らないレオンは、私に優しく口吻を落とした。
「今、私の目の前にいるのは私の婚約者なんだ」
まだ彼の温もりの残る唇を今度はそっと彼の親指がなぞっていく。
触れられて、嬉しいと思ってしまう。
けれど、物語の結末を知っているから、悲しくなる。
じわんと目頭が熱くなって、泣くまいと唇を強く結んだ。
その顎を、トントンとレオンの人差し指がつつく。
「今、エレーナの目の前にいるのも、エレーナの婚約者だろう?」
ここで素直に頷けたら、なんて幸せなのだろう。
顎を固定された状態では顔をそらすこともできない。私は困って、視線をさまよわせることしかできなかった。