悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?
救護室の戸を開けると、マリーがこちらを向いた。
彼女はいつもそうしているように、窓辺の椅子に腰掛け、窓の外へぼうっと視線を向けていた。
「エレーナ様……」
マリーの声に、苦笑いを浮かべる。
「なんだか、大変なことになっちゃった」
おどけるように肩をすくめて、へへっと笑った。
マリーの顔は悲しげに歪む。
「ごめんなさい、私のせいで……」
私はうつむくマリーの元に駆け寄った。
「マリーのせいじゃないって」
「でも、私がレオン様と結ばれたいがために、エレーナ様に無理を言ってしまって――」
「それは私も一緒だよ」
彼女の肩に手を置き、顔を覗く。
こちらを振り向いた彼女は、今にも泣きそうな顔をしていた。
「こんなイベント、無かったんです……」
「え?」
「王太子攻略ルートに、決闘なんて無かった。つまり、これはルート修正の為のイベントで……」
マリーは言葉に詰り、目元を隠してズズッと洟をすすった。だから、代わりに私が続けた。
「……つまりこの決闘は、ブラン様から私を離して『ただの王太子婚約者』に戻そうとするイベントってこと?」
マリーはコクリと頷いた。
――マリーは私を心配しているんだ。
レオンが勝ち、私は王太子のものになる。そうなれば事態は今と変わらず、私は悪役令嬢に成り下がるしかない。
そういうルートを辿るように、この世界がルートを修正しているなら――。
マリーは膝の上で拳を握っていた。
彼女はいつもそうしているように、窓辺の椅子に腰掛け、窓の外へぼうっと視線を向けていた。
「エレーナ様……」
マリーの声に、苦笑いを浮かべる。
「なんだか、大変なことになっちゃった」
おどけるように肩をすくめて、へへっと笑った。
マリーの顔は悲しげに歪む。
「ごめんなさい、私のせいで……」
私はうつむくマリーの元に駆け寄った。
「マリーのせいじゃないって」
「でも、私がレオン様と結ばれたいがために、エレーナ様に無理を言ってしまって――」
「それは私も一緒だよ」
彼女の肩に手を置き、顔を覗く。
こちらを振り向いた彼女は、今にも泣きそうな顔をしていた。
「こんなイベント、無かったんです……」
「え?」
「王太子攻略ルートに、決闘なんて無かった。つまり、これはルート修正の為のイベントで……」
マリーは言葉に詰り、目元を隠してズズッと洟をすすった。だから、代わりに私が続けた。
「……つまりこの決闘は、ブラン様から私を離して『ただの王太子婚約者』に戻そうとするイベントってこと?」
マリーはコクリと頷いた。
――マリーは私を心配しているんだ。
レオンが勝ち、私は王太子のものになる。そうなれば事態は今と変わらず、私は悪役令嬢に成り下がるしかない。
そういうルートを辿るように、この世界がルートを修正しているなら――。
マリーは膝の上で拳を握っていた。