悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?
「大丈夫よ、マリー。あなたはどの道、レオンと幸せになれるんだから」
「でも、エレーナ様は悪に成り下がるしかなくなってしまうじゃないですか……」
マリーは静かに泣き出した。
「エレーナ様が、良い人だから……。一緒に、幸せな未来を望みたかったから。なのに、こんなの――」
ひくっと喉を揺らしながら、必死に思いを紡いでくれる優しいマリーに、かける言葉が見つからない。
私は彼女の背を撫でることしかできなくて、もどかしい気持ちになった。
「マリー、大丈夫。ブラン様は強いの」
そうだ、ブランが勝ってしまえばいい。それで、私はリベルテ王国に行く。
婚約者を失くしたレオンに、マリーが寄り添ってあげればいいのだから。
それで万事解決だ。弱腰になっちゃいけない。
そうだ、私のブランは、強いんだ。
「レオンのこと、マリーに任せたわ」
「え……?」
濡れた瞳を瞬かせ、マリーは私を見上げた。
「私は勝ったブラン様と共に、リベルテ王国へ渡る。残されたレオンと、ちゃんと幸せになるのよ」
「でも……」
見つめられて、胸が痛くなる。
「何があっても、幸せは自分で掴み取るの。応援してる、から……」
分かってる。
これがもしルート修正イベントだとしたら、勝つのはレオンだ。
私は悪役令嬢になるしかない。
どうあがいたって、ルート修正イベントが発生して、私は悪役になるしかないんだ。
だったら、マリーだけでも幸せになって欲しい。
そんな思いを込めて、未だ悲痛な瞳で私を見つめるマリーに、笑顔を返した。
「でも、エレーナ様は悪に成り下がるしかなくなってしまうじゃないですか……」
マリーは静かに泣き出した。
「エレーナ様が、良い人だから……。一緒に、幸せな未来を望みたかったから。なのに、こんなの――」
ひくっと喉を揺らしながら、必死に思いを紡いでくれる優しいマリーに、かける言葉が見つからない。
私は彼女の背を撫でることしかできなくて、もどかしい気持ちになった。
「マリー、大丈夫。ブラン様は強いの」
そうだ、ブランが勝ってしまえばいい。それで、私はリベルテ王国に行く。
婚約者を失くしたレオンに、マリーが寄り添ってあげればいいのだから。
それで万事解決だ。弱腰になっちゃいけない。
そうだ、私のブランは、強いんだ。
「レオンのこと、マリーに任せたわ」
「え……?」
濡れた瞳を瞬かせ、マリーは私を見上げた。
「私は勝ったブラン様と共に、リベルテ王国へ渡る。残されたレオンと、ちゃんと幸せになるのよ」
「でも……」
見つめられて、胸が痛くなる。
「何があっても、幸せは自分で掴み取るの。応援してる、から……」
分かってる。
これがもしルート修正イベントだとしたら、勝つのはレオンだ。
私は悪役令嬢になるしかない。
どうあがいたって、ルート修正イベントが発生して、私は悪役になるしかないんだ。
だったら、マリーだけでも幸せになって欲しい。
そんな思いを込めて、未だ悲痛な瞳で私を見つめるマリーに、笑顔を返した。