悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?

王太子の思惑

「あー……」

 ブランは困惑して後頭部をガシガシ掻きながら、いつの間にか横にいたガブリエル王子の方をちらりと見る。

「ブランはこういうの、本当に不器用だよね」

「うっせえな、こういうのはお前のほうが得意だと思っただけだ」

 いつもの軽口を叩きながら、ブランは眉を寄せ唇をとがらせる。

「えっとね、つまり、ブランが勝ったんだけど――」

 その先は聞きたくない。
 そう、思ったのに。

「エレーナの気持ちは、しかと受け取ったよ」

 背後から愛しい声がして、とつぜん抱きしめられた。
 背中に感じる温もりは、紛れもなく愛しい人のものだ。

「レオン、様……?」

 夢でも見ているんじゃないかと、顔だけで振り返る。
 すると間近に、レオンの優しい笑みがある。
 胸がどくんと、大きく跳ねた。

「君の本心が知りたかったんだ」

 レオンは、私のお腹に回した腕に力を入れる。
 ぎゅうっと抱きしめられて、苦しい。けれど、それはとても幸せな苦しさだった。

 レオンはそのまま私の頬に唇を寄せる。
 ちゅっと音を立ててそれを離すと、耳元で囁いた。

「思ったよりもずっと、熱烈な告白をしてくれてとても嬉しかったよ」

「そ、それは……っ!」

 顔がぼっと熱くなる。
 必死だったが、なんだかとてもすごいことをしてしまった気がする。
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