悪役令嬢に転生したのですが推しのイケオジ騎士様(モブキャラ)と恋に落ちるルートはどれですか!?
「エレーナも書くだろう、マリーへの手紙」

「ええ、もちろん」

 マリーに伝えたいことが、山ほどある。
 今日、私たちはマリーの継母が働いていた悪事を暴き、彼女を捕らえることにやっと成功したのだ。

 正規ルートでは、その悪事に私が手を染め、マリーを陥れるのだが、マリーと私は友人なってしまった。
 すると今度は、マリーが継母の悪事に使われるのではないかと懸念し、レオンはこの問題に手が出せずにいたのだ。

 しかし、卒業と同時にマリーがリベルテ王国へ渡り、ヴィルコーン王国からいなくなったことで、事態を良い方向に動かすことができた。
 マリーの継母は、今は牢に入れられ、毎日騎士たちからの取り調べを受けているという。

 さらに、このことはレオン王太子の結婚後の初の手柄として、国中に周知された。

 私とマリー、互いの恋路は入れ替わってしまった。
 けれど、今は互いに幸せな道を歩いている。

 手紙を書き終え、蝋を落として封をすると、待ちかねていたようにレオンが私をベッドへと誘う。
 手を握られ、ベッドの縁にレオンと並んで腰掛けた。

「ふふっ」

 幸せで胸が満たされて、思わず笑みが漏れる。

「何を笑っているのかな?」

 レオンが私に顔を寄せる。
 おでこ同士がコツンとぶつかって、一番近い距離で微笑みあう。

「幸せだなあって」

「それは私もだよ」

 どちらからともなく、唇を寄せ合う。

「愛しているよ、エレーナ」

 キスの合間に囁くように告げられ、胸がいっぱいになる。

「私も……」

 「愛してる」の言葉は、レオンの深いキスに飲み込まれていく。
 私たちはそのまま、甘く蕩けるような幸せな夜を過ごしたのだった。


〈完〉
< 49 / 49 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:8

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
恋文の隠し場所 〜その想いを読み解いて〜

総文字数/30,315

恋愛(純愛)32ページ

表紙を見る
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop