「先生」って呼ばせないで

補習


月曜日の朝、登校してすぐに遥斗先輩が教室にやってきた。


試合も見ずに勝手に帰ってしまって合わせる顔がないや…。


一応、急に体調が悪くなったってLINEはしたけど…。


嘘をついている手前、なんだか気まずいし…。


「乃蒼ちゃん!」


廊下から呼ばれ、全員の視線が私に集まる。


“なんであの子が?”と言いたげな視線をいくつも感じ居心地が悪い。


「遥斗先輩、この前はすみませんでした。せっかく誘ってくれたのに…」


廊下に出てすぐに頭を下げる。


怒ってるかな…?


本当に申し訳ないことをしてしまった。


「全然大丈夫だよ。体調はどう?」


嘘を信じて心配してくれる優しい先輩に心が痛むけど、本当のことを話す勇気はない。


「大丈夫です。ほんと、ごめんなさい…」


「いいっていいって。それよりさ、空いてる日ない?どこか行こうよ」


え…?
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