「先生」って呼ばせないで
も、もしかして、デートに誘われてる!?


「空いてますっ!いつでも!暇です!」


「まじ?じゃあ明日の放課後とかどう?」


こんなトントン拍子に遥斗先輩とデートの約束ができるなんて…!!


世界がバラ色に見える…!!


「ぜひ―」


「明日の放課後は数学の補習だぞ」


背後から聞こえてきたクールな声にパッと振り向くと、廉くんがこちらに向かって歩いてきていた。


「盗み聞きしないでよっ」


「お前らの声がデカいんだよ。あとタメ口使うな」


でた、また“伊吹先生”モード。


このモードの廉くんは嫌だ。


すごく冷たく感じるんだもん。


「って、補習!?なんの!?」


「数学だって言ってんじゃん。明後日は国語、明明後日は英語。実力テストの成績が悪かった人は受けないといけないから」


えぇ!?そんなの聞いてないんだけど!


なんで新学期早々補習なんて…。


「一宮は3教科とも補習じゃないか?」


「え、やだ!遥斗先輩とデート行きたい」


ねぇ先輩!という気持ちで振り返ると、なぜか先輩は笑いを堪えて肩を震わせている。
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