「先生」って呼ばせないで

過去

翌日の夜。


今日はお兄ちゃんが帰ってきている。


昨日聞けなかった廉くんの恋愛事情を聞き出すんだ!


と、意気込んでお兄ちゃんの部屋に突入。


「お兄ちゃん!」


「ん?」


「廉くんの恋愛事情教えてっ」


「え?」


「廉くんの恋愛事情!」


怪訝な表情でパソコン作業の手を止めるお兄ちゃん。


「昨日廉くんに聞いたら、怜に聞けって」


「あいつがそう言ったの?」


「うん」


“ありえない”と言いたげな顔。


やっぱり廉くんには何かあるのかな。


ただフラれただけじゃなくて、深刻な何かが。


「まぁ、廉が良いって言ってんなら話してもいいけど…」


「ほんと!?」


「でも、そういうテンションで聞く話じゃないよ。すごく暗い話だし、未だに廉は彼女のことを引きずってるから」
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