「先生」って呼ばせないで
「…夏音、自殺したんだ」


……え?


自殺…?


ガツンと頭を殴られたような衝撃で、頭がクラクラする。


「自殺って…」


「…廉が言ってた。最後に会ったのがいつだったのか、何を話したのか、全く思い出せないって。それぐらい、2人は仕事に忙殺されて会えなかった」


そんな…。


「…夏音が自殺する前日、廉のスマホに留守電が入ってた。内容は“話したいことがある。明日の夕方5時までに電話ください”だった。…廉は、その留守電に気づかなかった」


…それって…。


もし廉くんからの電話があれば、夏音さんの命はこの世に繋げ止めることができたかもしれないってこと…?


「自殺の引き金を引いたのは俺だ。廉はそう言ってた」


…私…茶化して廉くんのことをからかっちゃったけど、深く傷つけてしまってたんだ。


なんてことをしてしまったんだろう。


「夏音はパワハラに悩んでた。それを廉に相談できないまま、廉からもあまり連絡が返ってこず、結局命を絶ってしまった」


…廉くんにそんな過去があったなんて…。


何も知らないであんなことを言って、私最低だ…。
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