「先生」って呼ばせないで

✡✡

翌日の放課後。


教室では廉くんと話すタイミングがなかったから、補習が終わってから職員室に向う。


職員室にはおらず、テニスコートにいると思うよと他の先生が教えてくれた。


テニスコートか…。


あまり行きたくはないけど、行かなきゃいけない。


それくらいのことをしてしまった。


本当は朝一で謝りたかったけど、常に女子に囲まれていてどうすることもできなかった。


今日も数学の補習があったらよかったのにな…。


あったら廉くんと2人で話せたのに。


そんなことを考えながら辿り着いたテニスコートでは、男子テニス部が遥斗先輩を中心として練習しているところだった。


廉くんはコートの端にあるベンチに座って部員を見ている。


ベンチと私がいる通路は緑のフェンス1枚を隔てているだけで、すぐ近くに廉くんがいる。


「廉くん」


声をかけると、ビックリした顔で振り向いた廉くんと目があった。


「おぉ、どうした?」
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