「先生」って呼ばせないで
なんて一途なんだろう。


カッコいいなぁ…。


「てかさっさと掃除しろ。そこ、ゴミ残ってる」


「はいはい」


「…お前なぁ。それが教師に対する態度か」


でたでた、教師モード。


私にとってはお兄ちゃんの幼なじみだもん。


「私は廉くんのこと先生だと思ってないもん」


「……はぁ?」


「…ごめん、怒った…?」


かなりムッとした廉くんの顔を覗き込む。


「怒ってない。いいから掃除しろって」


「怒ってるじゃーん…」


めっちゃトゲトゲしいんだけど…。


怒ってる顔だしさぁ…。


「伊吹先生っ」


私の元から離れ、教卓に戻ろうとした廉くんの背中を呼び止める。


私がそう呼んだことに驚いたのか、目を丸くして振り返った。


「なに?」


「私にも数学教えてね」


「“教えてください”な」


「はーい」


「今日は上野に教える約束してるから、明日でいい?」


「うん!」


やった!


やっとアポが取れた!


廉くんと2人きりの時間…!


「うへへ」


「変な笑い方してないで、さっさと掃除。三笠とデートすんだろ?」


「うん!」


やったね!廉くんに勉強教えてもらえるんだ!


楽しみだな〜。
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