「先生」って呼ばせないで
細くスラッとした指で手際よく色紙を折っていく姿。
あっという間に完成した作品。
『これ、だいやもんど?』
『そ。ダイヤモンド。可愛いっしょ?』
『可愛い!!大切にするねっ』
『うん。じゃあ俺は怜と遊んでくるから。またね、のんちゃん』
『のんも一緒に行く!』
背の高い廉くんの足にギュッと抱きつく。
廉くんはニコニコしながら頭を撫でてくれた。
『ごめん。今日はこれでバイバイ。また来るからね』
『やだぁぁ!!のんも行く!!』
駄々をこねる私をお兄ちゃんがヒョイと抱き上げ、お母さんの腕の中へ運ばれる。
『ごめんね〜廉くん。のんったら、廉くんのこと大好きみたい。迷惑だったら言ってね?』
『全然迷惑じゃないっすよ。妹ができたみたいで嬉しいっす』
廉くんはお母さんと少し話してから、私に手を振って去っていった。
『廉くんっ!…廉くん……』
『廉くんまた来るって言ってたよ。今日はお母さんと遊ぼう?』
『やだ!廉くんがいい!』
廉くんが…いい…。
廉くんと遊びたい…。
廉くんに会いたい…。