「先生」って呼ばせないで
冷たい。


昔は私が泣く度に慰めてくれたのに。


「昔みたいに慰めてよ」


ヨシヨシして、ギュッてして、泣き止むまで一緒にいてよ。


「ここはいつから保育園になったんだ。俺は保育士じゃねんだよ」


冷た。


ホントに冷たい。


変わっちゃったんだ。


廉くんが廉くんじゃない。


「変わっ―」


「人間誰しも変わるもんだよ。のんちゃんが変わらなすぎんの。いつまで幼稚園児気分でいるつもりだよ」


そんな厳しいこと言わないでよ…。


大人になるってこういうことなのかな…。


大人になって変わっちゃったんだ。


寂しい。


悲しい。


「乃蒼ちゃーん!」


どんよりした空気を切り裂く爽やかな声。


遥斗先輩が笑顔で手を振りながら走ってくる。
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