「先生」って呼ばせないで
トラウマ
土曜日はあっという間にやって来た。
テニスをしている遥斗先輩を見れる楽しみと、テニスに触れる不安が入り混じっていて、この1週間はずっと気持ちが不安定だった。
【今日暑いから熱中症に気をつけてね!】
大会前で忙しいし集中もしたいはずなのに、気遣いのメッセージが届く。
ほんとに優しい人だ…。
【ありがとうございます!先輩こそ気をつけてくださいね!応援してます!!】
そう返信してから、洗面所でメイクと髪の毛の最終確認をする。
鏡に映る自分の口角が分かりやすく上がっていて一人で勝手に恥ずかしくなる。
指で口角を摘んで下げようとしたけど、その手を離すと勝手に上がってしまう。
なんだかんだ楽しみなんだなぁ…としみじみ感じる。
トラウマを乗り越える良い機会なのかもしれない。
いつも通り気楽な心持ちで行こう。
不安に思う必要なんてない。
だって、過去は過去だもん。