「先生」って呼ばせないで
さっきから、私の心読んでる?


思ったことを口に出してないのにフォローしてくれてるけど。


「一宮が考えてることはすぐ分かる」


ほら、また。


だったら、一宮って呼ばれる度に寂しくなってることも分かってくれるよね?


一宮って呼ばないで。


先生って呼ばせないで。


「俺でよければいつでも話聞くし、何かあったときは助けに行くから」


心配してくれてるんだね…。


私が倒れそうになった時、すぐに駆けつけてくれたのだって、私を気にかけて見てくれていたからだよね。


廉くんはいつもそうだった。


出掛け先でお兄ちゃんとはぐれて大泣きしていたとき、助けに来てくれたのは廉くんだった。


頑張って工作した紙ロボットをお兄ちゃんに壊されて大喧嘩したとき、私の味方をしてくれたのも廉くんだった。


お気に入りのキーホルダーを失くしてしょんぼりしていた私に、新しいキーホルダーを買ってくれた。


ショートケーキのイチゴはいつも私にくれた。
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