「先生」って呼ばせないで
優しい優しい私のヒーロー。


今日もまた、ヒーローになってくれる…?


最大級のヒーローに。


「…話、聞いてほしい」


もしものときに助けてくれる人がいてほしい。


高校の友達には打ち明けられないから、せめて廉くんにだけは知っててもらいたい。


恥ずかしい話だし、どう思われるか不安だけど…。


でも、今の廉くんの目を見ていると、絶対に話したことを後悔しない気がするんだ。


「いいよ。でもごめん。もうすぐ試合始まるから、後ででもいい?」


「あ…うん、いつでも」


そうだよね。


開会式ももうすぐ終わっちゃうし、遥斗先輩は第1試合だもんね。


「俺の連絡先教えとく。大会終わったら連絡するから、しばらく待ってて」


「えっ、いいの?」


LINEのQRコードが表示されている。


あのお兄ちゃんが頑なに教えてくれなかった連絡先がまさか本人から貰えるなんて。


「これはあくまで、“幼なじみの妹”に教えてるだけだから。他の生徒には内緒な?」


「やっぱり廉くんは廉だね!嬉しい!」


変わっちゃったのかと思って寂しかったけど、そんなことはなかったんだ。
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