「先生」って呼ばせないで
QRコードを読み取ると、廉くんのアカウントが表示される。


「わぁ…このアイコン綺麗…。廉くんが撮ったの?」


オレンジの海に浮かぶ大きな夕陽。


砂浜には大きくハート型が掘られている。


「ん?知り合いが撮った。そんなまじまじ見るような写真じゃねーよ」


廉くんが綺麗な風景をアイコンにしてるなんて意外だなぁ。


初期アイコンタイプかと思ってた。


「じゃあこのハートを掘ったのが廉くん?」


「違う。俺にそんな趣味はない」


「なんだ。つまんないのー」


「てかお前こそなんだよこのアイコン」


「え、可愛いじゃん」


昔飼ってたウーパールーパーの正面ショットを未だにアイコンにしている。


もう死んじゃったけど、大切なペットだった。


「まさかこのアイコンのまま三笠とLINEしてんの?」


「そうだよ?パー子ちゃん、可愛いもん」


「なんだよそのネーミングセンス。名付け親誰?」


「私だけど、何か文句ある?ウーパールーパーのパー子ちゃんだよ」


「…ダサ」


「え?なんか言った?」


「別に。素敵な名前じゃん」


「でしょ?」


廉くんにも会わせてあげたかったなぁ…。
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