「先生」って呼ばせないで
「怜が門の前に着いたって。門まで送ってく」


「え、もう?早すぎない?」


もう少し廉くんとお話したかったなぁ…。


「あのシスコンバカ兄貴のことだから、近くで待機してたんだろーよ。ホントお前は過保護に育ったなぁ」


「ねぇ。素の廉くんって口悪いの?」


ずっと気になってたんだよね。


昔の廉くんは丁寧な言葉遣いだったし、毒を吐くことなんてなかった。


でもあれはお兄ちゃんの言う通り素じゃなくて、こっちの廉くんが素。


「別に悪くないと思うけど。ほら、行くぞ。怜が心配してる」


先に立ち上がり、パッと手を差し出してくれる。


口は悪いけど、紳士なところは変わらない。


「歩ける?」


「うん、もう大丈夫だよ。ありがとう」


完全に落ち着いたのは廉くんのおかげだ。


口は悪いけど、優しいところが大好きだ。
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