「先生」って呼ばせないで
中学時代
【試合終わって、ミーティングも終わった。今からならいつでも話聞けるけど、どうしたい?】
気分もすっかり落ち着いた夕方6時頃、廉くんからメッセージが届いた。
待ちに待っていたメッセージに心が躍る。
【電話してもいい…?】
迷惑かな…?
やっぱりメッセージでのやり取りのほうがいいかな。
そう思い直し、送信取り消ししようとしたところ、画面が切り替わって着信画面が表示される。
廉くんから掛けてくれるなんて。
急な出来事でまだ心の準備もできていない。
「ふぅ…」
一度深呼吸してから応答ボタンを押す。
「もしもし…」
『もしもし。今電話大丈夫?』
クールな声がスマホ越しに聞こえてきた。
「廉くんだ…」
私、今、廉くんと電話してるんだ。
『当たり前だろ』
「まぁそうなんだけどさ。嬉しくって」
『そ。で?話って?』
単刀直入だなぁ…。
廉くんっぽいけどさ。
「私の過去の話、聞いてくれる…?」
『うん。時間はいくらでもあるから、ゆっくり自分のペースで話しな』
クールだけど優しい。
廉くんになら話しても大丈夫。
知ってほしい。
私の過去も、今も、全部全部。
「私ね、中学2年生の時に―…」