「先生」って呼ばせないで
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中学2年、秋。
3年生の先輩たちが夏で引退して、私たちの代が始まった。
部員皆と仲が良くて、大会成績も1番良かった私がキャプテンに任命され、副キャプテンには梓が任命された。
「乃蒼!また男テニの奴からラブレター届いたよ。捨てとく?」
ラケットと共に封筒を持ってグラウンドにやって来た梓。
梓とは入部して以来ずっと仲が良く、いいライバルとしてやってきている。
「またか…。毎回毎回ごめんね。ちなみに誰から?」
男子テニス部の何人かが何度も梓づてに手紙を渡してくる。
直接持ってきてこればそれなりの対応はするのに、関係のない梓を仲介役にするあたりが気に入らない。
梓に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「今回はねー、大森」
「…へぇ。捨てといてもらってもいい?」